東大寺大仏殿に向かって右側に存在感があるにもかかわらず、意外と参拝者に気付かれずに素通りされていく木像が安置されています。
この木像は「賓頭盧尊者」読み方は「びんずるそんじゃ」といい
- おびんずる様
- びんずる様
- びんずるさん
などと親しみを込めて呼ばれています。
びんずる様は全国各地のお寺に安置されていて、東大寺では指図堂にも安置されています。
また、興福寺の南円堂にもいらっしゃいます。
では、びんずる様とは一体どんな方なのでしょう。
びんずる様、賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)とは?
賓頭盧尊者は撫でた箇所が治るといわれている、病の人を治す力をお持ちです。
近づいてみると案内板がありました。
ちょっと読みづらいので文字に起こしました。
賓頭盧尊者 びんずるそんじゃ 江戸時代 木造
仏弟子で、如来・菩薩以前の修行過程にある十六羅漢(らかん)のうち、第一の聖者である。説法に優れ、「獅子吼(ししく)第一」と呼ばれたが、釈迦にとがめられたほどの神通力の持ち主であったという。彼には種々の伝説があり、中国ではそれをもとに、聖僧として食堂(じきどう)に彼の像が安置された。日本ではその像を伽藍(がらん)の前に安置し、病人が患(わずら)っている箇所と同じ部分を撫(な)でると治るという信仰がある。ここから「撫仏(なでぼとけ)」とも呼ばれている。
びんずる様はお釈迦様の弟子の中でも特に優れた16人のうちの1人で徳の高い方だったということ。
相手が誰であろうと、ひるむことなく正しいことを言い(獅子吼)、神通力がとても強い方だったといいます。
しかし、自分の力に調子に乗ったびんずる様はその神通力を自分の欲のために使いお釈迦様に叱られ破門にされたそうです。
その後、反省し修行を重ねたびんずる様は再びお釈迦様のそばに置いていただけるようになりました。
びんずる様が外にいらっしゃるのは過去の過ちを改め、訪れる人々の病気を治すために鎮座されているのだそうです。
びんずる様は病気を治す撫で仏
説明にもあるように患っている箇所がある人は自分の患部と「びんずる様」の同じ個所を交互に撫でると病気やケガが治るといわれています。
ただ、東大寺大仏殿にいらっしゃるびんずる様は高い台の上に鎮座されているのでせいぜい二の腕あたりを撫でるのが精一杯ですね。
全国各地の「びんずる様」は、お参りに来た人が撫で回すので「ツルツル」「ピカピカ」に磨かれ、表情がわからないほど摩耗した像があります。
興福寺の南円堂の「びんずる様」は撫でられてお顔の色が落ちています。
大仏殿のびんずる様のお顔は撫でられていないのでほとんど摩耗していませんね。
びんずる様に気付かないのはなぜ?
不思議なのは大仏殿に向かって右側にけっこうな存在感があるにもかかわらずびんずる様に気づかない人もかなりの数になります。
というか人の流れを見ているとほとんどの人は気づいていない様子です。
想像ですが、大仏殿に入る直前のお香を体中に浴びてから、大仏様を拝みに行く・・・。
お香を浴びている煙のすぐそこに大仏様がいらっしゃるので気持ちは目の前の大仏様にいってしまっているようです。
そして大仏殿から出てきたら満足してそのまま帰路に・・・。
こんな流れでびんずる様に気付かずに大仏殿から出てしまう人がほとんどなんでしょうね。
せっかくなので、びんずる様のご利益にあずかってから帰りましょう。
まとめ
東大寺大仏殿のびんずる様の木像(賓頭盧尊者/びんずるそんじゃ)は大仏殿に向かって右側の台の上に座っておられます。
びんずる様は体の調子が悪いところを治してくれる力があるといわれているので、患っている部分がある方はびんずる様のその部分を撫でてご利益にあずかりましょう。
コメント