猿沢池の北東にあり興福寺へと続く石段。
この石段の数が「52」あることから「五十二段(ごじゅうにだん)」といいます。
そしてこの「52」という数字には意味があり、仏門への修行の段階をあらわした「菩薩五十二位」の52に由来するといいます。
五十二段は悟りを開くための修行の道
菩薩五十二位は菩薩の修行の段階を52に分けたもので
- 十信(じゅうしん)・・・1~10位
- 十住(じゅうじゅう)・・・11位~20位
- 十行(じゅうぎょう)・・・21位~30位
- 十廻向(じゅうえこう)・・・31位~40位
- 十地(じっち、じゅうぢ)・・・41位~50位
- 等覚(とうかく)・・・51位
- 妙覚(みょうかく)・・・52位
と修行の段階があり
菩薩とは仏の悟りを求める人のことで「等覚(51位)」までが菩薩で「妙覚(52位)」まで地位を高めると仏(如来)と同一視されます。
つまり、猿沢池の五十二段の石段は仏道で悟りを開くための修行の段階を表しています。
他にも「東大寺の二月堂の階段」や「大湯屋から鐘楼ヶ丘へと上る階段」も五十二段になっています。
猿沢池の五十二段の石段を何気なしに上っていますが、実は五十二段を上りきるには果てしない修業を積まなければならなかったんですね。
五十二段の下から分岐する六道の辻
そして、五十二段の石段の下の広場からはよく見ると道路が6方向にのびています。
- 興福寺へ続く五十二段
- 五十二段の右側の春日大社「一之鳥居」方面への上り坂
- よしだや、セトレならまちの両ホテルの間の道
- 元興寺方面へと延びる南への道
- 猿沢池の南側への道
- 猿沢池の北側から三条通へ合流する道
これらの6つの道へと分岐するこの五十二段の下の広場を奈良の「六道の辻(りくどうのつじ)」といいます。
六道とは
- 「地獄」
- 「餓鬼」
- 「畜生」
- 「阿修羅」
- 「人間」
- 「天上」
を表し、人は誰でも前世の行いによってこのどれかに生まれ変わるといわれています。
そして五十二段を上りきった興福寺へと続く道が「天上」ならば他の5つの道はどこにつながっているのか・・・。
いずれにしても人間に生まれたこと自体が修行だとよく言われますが、そう簡単に楽な道にたどり着けないからこそ人生いろいろなんでしょうね。
五十二段への行き方・アクセス
なら燈花会の時は五十二段も会場の一つになり、このようにライトアップされます。
では、五十二段へのアクセス(行き方)をご紹介します。
近鉄奈良駅の行基広場から東向商店街を南へ5分
⇒商店街の出口(突き当り)を左折して猿沢池方面へ
⇒2~3分歩くと右斜め前に猿沢池が見えてきます。
⇒そのまま猿沢池を右に見ながら進むと左に五十二段(石段)が見えてきます。
行基広場から徒歩で約10分程度です。
まとめ
こうしてみると奈良の道はその一つ一つに意味があり本当に奥が深いですね。
52段が悟りを開くための修行の段数でその下には6つの道が広がっているという・・・。
何気なく歩いている足元にも1300年の深い歴史を感じずにはいられません。
この五十二段を訪れた際はそういった背景を感じながら上ってみてはいかがでしょう。
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